季節の香り

日中の空いた公園や遊歩道を散歩するときでさえ、すれ違う人がいるようなときにはマスクをしている。

お互い無言であっても、十分そうな距離があっても。

もはや感染予防の効果云々というよりマナーとしてしているような感覚。

感じよくみられるには必携。

 

それにマスクをしていれば、気が向いたときに「こんにちは」とか「ワンちゃんだ、かわいいですね」とか、簡単な挨拶ができる。

そんな短いコミュニケーションも心が和む貴重な瞬間だ。

知らない人との挨拶はそよ風のように心地いい。

 

でもやっぱり、周囲に人影がなければマスクをとる。

新鮮な外気が美味しい。

それに最近は秋の少しひんやりした気温が特に心地いい。

鼻や口から豊かに吸い込みたくなる。

 

今日は私個人の”金木犀開花宣言”日となった。

探せばそこここの人家の庭に金木犀が植えてある。

色こそ綺麗なオレンジだが、とても小さな金木犀の花は目で見て気づくものではない。

やはりあの特有の「秋の香り」が漂ってきて、「あっ!」という喜びとともに気が付く。

私この匂い好きなのよねぇ、と。

そうしてから、いったいどこに咲いているんだろう、とその花を探して確認する。

 

まだまだフレッシュなこの細かな花たちも、驚くほどあっという間にポロポロと散ってしまう事だろう。

いつの間にか金木犀の香りが去っていったことに気付けるだろうか。

そういえば、あんなに大声で鳴いていたセミの声がいつの間にか鈴虫に代わっている。

落ち葉も目立つようになってきた。

 

もう金木犀の季節かぁ、と思っていると、次の風に乗って蚊遣りの匂いが運ばれてきた。

まだまだ蚊が多い。夕暮れなんかは特に気になる。

だがこの蚊遣りの匂いももう嗅ぎおさめだろうなぁ。

夏と秋のグラデーションを鼻で感じた散歩になった。